介護・看護現場を支える お役立ち情報

2025-12-17

✨【「自分ばかり仕事をしている…」と思ってしまうあなたへ】 医療・福祉職を追い詰める“認知の歪み”の仕組みと、心が軽くなる視点

✨【「自分ばかり仕事をしている…」と思ってしまうあなたへ】

医療・福祉職を追い詰める“認知の歪み”の仕組みと、心が軽くなる視点

医療・福祉の現場では、「私ばかり仕事してない?」 と感じる瞬間が、多くの人にあります。

・気づいたら自分だけ動いている
・ほかの職員は休んでいるように見える
・同じ給料なのに負担が違う気がする
・なんで私だけバタバタしてるの?
・頑張っているほど「私ばっかり…」と思ってしまう

こうした感覚は、決して珍しいものではありません。
むしろ、現場で真面目に取り組む人ほど抱きやすい心の疲れです。

この記事では、介護・看護・相談支援など、医療・福祉の現場でよく起きる
「自分だけ負担が大きい」と感じてしまう心理を、認知心理学をもとに解説しながら、
気持ちを少し軽くするためのヒントをまとめていきます。

あなたが悪いわけではありません。
“心が疲れている時に起きる現象”が、そう感じさせているだけなのです。


① 「自分ばかり仕事をしている」現象とは?

医療・福祉の現場には、仕事が均等には見えないタイミングが沢山あります。

  • ある職員は入浴介助で走り回っている

  • 別の人は記録に集中している

  • 夜勤帯では、片方が利用者対応で忙殺

  • もう片方はナースコールの波が少ない時間帯に事務作業

仕事の「重さ」や「瞬間的負荷」が一致しにくいのが、この業界の特徴です。

その結果、疲れている時ほど、

「私の方が大変」
「なんで私だけ?」
「周りは楽してる」

と感じやすくなります。

しかし、これらは“事実”ではなく、
**“心がつくる主観的な感覚”**であることも多いのです。


② 認知のバイアス(被害者意識・比較の罠)

人間の脳は、疲れているほど「自分の負担」を過大評価し、
「他人の負担」を過小評価する傾向があります。

これを認知心理学では 認知バイアス(Cognitive Bias) と呼びます。

特に医療・福祉職が陥りやすいのが次の2つ。


■ 1. 被害者意識バイアス(Victim Mindset)

疲労・ストレスが強いと、

「自分は損している」
「自分だけ報われていない」

という心理が強まりやすくなります。

この状態になると、他人の動きが遅く見えたり、
「自分ほど頑張っていない」と感じたりしやすくなります。

しかし、実際には
「あなたが頑張りすぎている」
「あなたがタスクを先回りして動いている」
という場合も多いのです。


■ 2. 比較の罠(Social Comparison)

人は無意識に周囲と自分を比較します。

医療・福祉の現場は業務が多岐に渡るため、
比較素材が無限にあります。

・動いている人
・動いてないように“見える”人
・記録に時間をかける人
・身体介助中心の人

この複雑な環境で比較を始めると、
どうしても “不公平感” を感じやすくなるのです。

実際の業務量の差より、
“見え方”の差の方が強く印象に残るためです。


③ 真面目な介護職ほどハマる心理的メカニズム

医療・福祉職の中でも、特に真面目で責任感が強い人は
この「自分ばかり…」現象にハマりやすいと言われています。

理由は3つあります。


■ 1. “気づける人”だからこそ、目に入る情報が多い

利用者の変化・同僚の動き・環境の変化など、
視野が広い人は無意識に「仕事」を多く拾ってしまいます。

気づける → 動いてしまう
動く → 負担が増える
負担が増える → “私ばかり”に感じてしまう

良い性質が悪循環を生むことがあります。


■ 2. 完璧主義傾向がある

完璧主義者ほど、

「ここまでやってこそ仕事」
「半端では終われない」

という基準が高くなります。

その高い基準を自分に適用し、
さらに他人にも同じ基準を求めてしまうことで
不公平感が強まりやすくなります。


■ 3. 努力が“見えにくい仕事”が多い

医療・福祉業界の仕事は、
スピードや成果が可視化されにくいのが特徴です。

「がんばり」は必ずしも“周囲に見える”形では残りません。

だからこそ、頑張っている自分と比較して、
“動いていないように見える他者”が
気になってしまうのです。


④ 心を軽くする視点の変え方(認知再構成のコツ)

「私ばかり…」を感じた時、
まず最初にしてほしいのが “思考の棚卸し” です。

認知行動療法(CBT)では、
感情は「自動思考」というクセによって生まれるとされています。

ここでは、すぐできる視点の切り替え法を紹介します。


✔ 1. 自分の感情を“事実”と切り離す

感情 →「私の方が大変」
事実 →「忙しいタイミングに当たっただけ」

この2つは違います。

感情が悪いのではなく、
「事実とごちゃ混ぜになっている」だけ。


✔ 2. 他者の動きは“見えている一部分”だけと理解する

あなたが動いている瞬間、
他の職員も別の場所で動いているかもしれません。

今見えているのは“切り取られたワンシーン”です。

ドラマの一部分だけ見て
「この人ずっとサボってる」と決めつけるようなものです。


✔ 3. “誰がどれだけ働いたか”ではなく“利用者にとって何が最適か”で考える

医療・福祉職が大切にしている価値観は
本来、**公平性より「チームケア」**です。

その日のメンバー構成・利用者の状態・役割によって
負担が偏る日はどうしても出ます。

それは
“組織として自然な波”
であって、あなたの努力不足でも誰かの怠慢でもありません。


✔ 4. 「今日は自分が多く動いた日」と事実ベースで捉える

・自分ばかり → ✕
・今日は自分の動きが多かった → ◯

言葉を置き換えるだけで、感情の重さは大きく変わります。


⑤ 周囲と上手に距離を取る方法

感情が溜まりすぎると、
視野が狭くなり、
人間関係までしんどくなっていきます。

そんな時は、次の“距離の取り方”を試してみてください。


■ 1. その場ですべて抱え込まない

・気づいた仕事を全部拾わなくていい
・できる分だけでOK
・手が回らない時は「誰かお願いできますか?」でよい

あなた一人で回す現場ではありません。


■ 2. 信頼できる同僚に、小さく相談する

「ちょっと疲れてて、最近自分ばかり動いてる気がして…」
これだけで十分。

言語化するだけで、感情は整理されていきます。


■ 3. 自分の“がんばり”を可視化する

・今日できたこと3つ
・自分が対応した業務をメモ
・良かった支援の記録

これを1週間続けると、
「周囲がどう」ではなく
「自分がどう動いたか」に意識が戻ります。


■ 4. “期待値の設定”を下げる

「みんな同じレベルで働くだろう」という期待が、
不公平感の源です。

現実は、
人それぞれ得意もペースも違う。

これを心で理解できると、
自分の負担感が大きく減ります。


【おわりに】

「自分ばかり…」と感じるのは、弱さではなく“真面目さの証拠”。

医療・福祉の現場は、
見えない仕事・割り込む仕事・感情労働が多い世界です。

だからこそ、あなたのがんばりが見えにくく、
心が疲れた時に
「私ばかり動いている」と感じやすくなるのは当然のこと。

これは、性格の問題ではありません。
あなたの心が「そろそろ休ませて」と教えてくれているサインです。

少し立ち止まっていい。
できる範囲で働いていい。
しんどい日は、負担を減らしていい。

あなたが抱えているその感情は、
“頑張ってきた証拠”であり、
“責任感の強さ”でもあります。

 

どうか、自分を責めずに。
あなたの働きは、必ず誰かの生活を支えています。

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