「この利用者さんには、もっと合うケアがあるのに…」が現場で実現しない理由と、その乗り越え方
こんにちは!株式会社Goingの鈴木です。
これまで介護職として現場を経験し、今は福祉・医療分野に特化した転職支援や採用支援を行う立場として、たくさんの“現場の声”に触れてきました。
その中で、よく聞くのがこの言葉です。
「〇〇さんには、こっちのケアの方が合っていると思うんだけど…」
「なぜかそれが現場で実現されないんだよね」
この“もどかしさ”、本当にわかります。
私たちは毎日、利用者さんの変化を目の当たりにしながら、「もっと快適に」「もっと安全に」過ごしてもらいたいと思っています。
でも現実には、「気づいているのに変えられない」――そんな状況が少なからずありますよね。
ではなぜ、良いと思ったケアが形にならないのか?
そこには、大きく分けて3つの「見えない壁」があると感じています。
■ ① 共感止まりで終わってしまっている
現場での会話の中で、こんなやり取りをしたことはありませんか?
「やっぱり〇〇さんには、午後はリクライニングの方が落ち着くよね」
「うんうん、確かに!あの方、横になるより座ってる方が調子よさそうだもんね」
共感が得られている。でも、それっきり。
これ、実はとてももったいないんです。
なぜなら、「感覚の一致」だけでは、ケアの方法は変わらないから。
記録や検討の場に反映されて初めて、“共感”が“提案”に変わります。
✨【ここがヒント!】
共感したなら、ぜひ次の一歩を踏んでみましょう。
「○月○日 午後、ベッド上で落ち着かず3回起き上がりあり。その後リクライニングチェアへ誘導し、30分安定して過ごされた」といった記録があれば、誰が見ても“実際の変化”として伝わります。
■ ② チーム内で共通認識がとれていない
ある利用者さんのケア方針について、こんなやり取りが起きたことはありませんか?
「〇〇さんは、まだトイレ誘導で排泄ができると思うんだけど」
「え?さすがにもう立位が不安定で、トイレまでの介助は危ないんじゃない?」
どちらもその人なりの経験や観察による判断で、“間違っている”わけではない。
でも、そのままでは、方針がぶれたままなんですよね。
✨【ここがヒント!】
「私はこう思った」という気づきを、遠慮せず、問いかけの形で伝えてみることが第一歩です。
「最近〇〇さん、トイレの時に立ち上がりが不安定になってきた気がするんですけど、皆さんどう感じていますか?」
このように“問い”として投げかければ、正解を押しつけずに、対話が生まれます。
共通認識は、日々の対話からしか育ちません。
■ ③「自分の役割じゃない」と思ってしまう空気
これも現場でよく見かけるケースです。
「私はパートだし、ケア方針のことまでは決められないから」
「社員さんがやることだから、自分からは言いにくくて…」
そんなふうに、“自分には関係ない”と思ってしまう雰囲気。でもそれ、本当でしょうか?
✨【ここがヒント!】
実は、利用者さんと一番近くにいるあなただからこそ、気づけることがあるんです。
たとえ判断や調整は他の職員が行うとしても、
「こんな変化がありました」「こうしたら落ち着いていました」という観察の声がなければ、
現場のケアは動きません。
小さなメモでも、申し送りでも、気づいたことを“誰かに伝える”という行動は、
十分に価値ある役割です。
■ 「違和感」を流さず、動きに変えていこう
「なんとなく、今のケア合ってない気がするな…」
「もっと楽になる方法がある気がするけど、まあいっか…」
この“なんとなく”を流さず、言葉にしてみる・記録に残してみることで、
現場のケアは必ず少しずつ良くなっていきます。
✅ おわりに:問いかけが、変化のはじまり
最後に、今日からでもできる一歩をご紹介します。
現場で、こんな問いかけをしてみませんか?
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「〇〇さん、最近こういう様子が増えてる気がしませんか?」
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「今のケアも悪くないけど、別の方法も試してみたい気がしてて」
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「これ、まだ“提案”じゃないんですけど、気づいたことがあって…」
こんなふうに、自分の中の違和感や気づきを“言葉”にしてみることで、
チームの中に小さな変化が生まれます。
「自分には関係ない」ではなく、
「自分にだからできることがある」と思える現場に。
そのために、今日も小さな一歩を、一緒に積み重ねていきましょう。