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2025年5月10日

有料老人ホームの現状シリーズ④「重度化する入居者、でも配置基準なし?有料老人ホーム・サ高住の現場が直面する課題」

こんにちは!株式会社Goingの鈴木です。
現場で働く皆さんが「これってうちだけ?」と感じているような悩みに、全国のデータをもとにお答えするシリーズ、今回は第4回です。

テーマは、
「重度者対応」と「職員配置」のギャップ問題。

令和4年度のWAM(福祉医療機構)現況報告から、
有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)における現場の実態が浮き彫りになっています。

「夜勤はワンオペが当たり前…」
「医療依存度が高くても看護師がいない…」
そんな声の背景にある“制度と現実のズレ”について考えていきましょう。


【目次】

  1. 今回の対象は「有料老人ホーム・サ高住」

  2. 入居者の7割が要介護3以上

  3. それでも「職員配置の基準」はない?

  4. 夜間体制は1人配置が大半

  5. 看護師の不在と医療的ケアの増加

  6. まとめ

  7. 参照元


1. 今回の対象は「有料老人ホーム・サ高住」

この記事の内容は、
▶ 有料老人ホーム
▶ サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
に関する【令和4年度 WAM現況報告】に基づいています。

特養とは異なり、これらの施設には
※「介護職員の配置基準」が法的には定められていない点が大きな特徴です。
※補足記事を参照


2. 入居者の7割が要介護3以上

入居者の状態を見ると、

  • 要介護3~5の方が全体の約7割

  • 認知症と診断されている方も8割近く

つまり、実質的には特養と同等レベルのケアが必要な入居者が多いのが現実です。


3. それでも「職員配置の基準」はない?

住宅型やサ高住には、
✅ 特養のような「1.9:1」などの人員配置基準が法的に存在しません。

そのため、

  • 入居者数が多くても職員が少ない

  • 利用者に対するサービス密度が薄くなる

  • 担当者の負担が重くなりやすい

という問題が日常的に起きやすい構造になっています。


4. 夜間体制は1人配置が大半

WAMの調査では、
夜間(0~6時)の職員体制として、
▶ 1人配置が約8割を占めているという結果が出ています。

これはつまり、
✅ 50~60人規模の施設でも、夜間は1人で対応している
ケースが非常に多いということです。

転倒、体調急変、ナースコール対応…
どれも1人で抱えるのは、現場にとって大きなストレスです。


5. 看護師の不在と医療的ケアの増加

さらに問題となっているのが、
▶ 看護職員の不在率と、
▶ 医療的ケア(インスリン・胃ろう・酸素など)への対応負担です。

データによると、

  • 看護師が日中しかいない or 不在

  • 医療的ケアは訪問看護や家族任せ
    という施設も少なくありません。

法制度では「医療が必要な人もOK」とされているのに、
その受け皿としての体制が十分とはいえないのが実情です。


6. まとめ

✅ 有料老人ホーム・サ高住では、重度の方が増加傾向
✅ それでも法的な職員配置基準はなく、夜間は1人体制が主流
✅ 看護職員が不在でも医療的ケアが必要なケースが多い

現場に求められるのは、

  • 緊急時の対応フロー整備

  • 医療機関との連携強化

  • 負担分散のためのチーム体制づくり

制度と実態の“はざま”を、現場力でどう埋めていくかが問われています。


7. 参照元データ

  • 独立行政法人福祉医療機構(WAM)
    「有料老人ホームおよびサービス付き高齢者向け住宅の現況報告(令和4年度)」
    [PDF資料より作成(ファイル名:001475471.pdf)]


※補足

種別 人員配置基準(法定) 備考
特定施設入居者生活介護(介護付き有料老人ホーム) あり(例:3:1) 介護保険法施行規則に基づく「特定施設」の基準
住宅型有料老人ホーム なし(施設単体にはなし) 外部の訪問介護等を個別に利用。訪問介護事業所側には基準あり
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) なし(住宅としてはなし) サービス提供の実態に応じ、個別事業所の基準が適用される(例:訪問介護事業所など)

 

【介護付き有料老人ホーム(=特定施設)】

  • 都道府県の「特定施設入居者生活介護」指定を受けた施設

  • 介護保険サービスを包括的に提供するため、法定の人員配置基準が適用されます

    • 介護職員:要介護者3人に1人(3:1)

    • 看護職員:日中帯常駐(夜間は応相談)

    • ケアマネジャー:入居者100人に1人以上


【住宅型有料老人ホーム】

  • あくまで「住宅」の扱い

  • 食事や見守りなどの生活支援サービスは提供されるが、介護サービスは外部の訪問介護事業所などと個別契約

  • よって、住宅そのものに人員配置義務はない

  • 介護提供主体である訪問介護事業所には別途基準あり


【サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)】

  • 「高齢者住まい法」に基づく住宅

  • バリアフリー構造や見守り体制など一定の登録基準はあるが、人員配置基準は法律で義務付けられていない

  • 介護が必要な場合は、外部の介護保険サービス(訪問介護など)と個別契約 → サービス提供事業所側に基準が適用される


✅ まとめ図(イメージ)

区分 配置基準の有無 介護サービスの提供主体
介護付き有料(特定施設) あり(3:1など) 施設が包括的に提供
住宅型有料 なし 外部の介護事業所と契約
サ高住 なし 同上(外部と契約)

次回(第5回・最終回)は、
**「職員不足・倒産リスクと現場への影響」**をテーマにお届けします。

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